ラインナップ
詩人の恋/Dichterliebe Op.48
R.シューマン/Robert.Schumann 曲 H.ハイネ/Heinrich.Heine 詩
1. 言い知れない麗しい五月に/Im wunderschönen nen Monat Mai
長い冬が終わり、一斉に蕾が開く5月に僕の恋も芽生えた。
2. 僕の涙からたくさんの花たちが芽生え/Aus meinen Tranen spriesen
もし君が僕を愛してくれるのなら、咲き乱れる花も、山々にこだまするナイチンゲールの歌声も君に捧げよう。
3. 薔薇と百合と鳩と太陽/Die Rose, die Lilie, die Taube, die Sonne
それらを愛してきたが、これからはすべての愛の泉である君一人を愛そう。
4. 君の目を覗き込む時/Wenn ich in deine Augen seh
君によって悩みは消え活力はみなぎる。君の腕の中で愛してると聞き涙は溢れ流れる。
5. 僕は百合の萼(うてな)に魂を鎮めたい/Ich will meine Seele tauchen
胸の疼き、喜び、彼女の口ずさむ歌、確かに彼女は僕に与えてくれたのだ、言いようもなく甘い時間の中で。
6. ライン、その聖なる流れの中/Im Rhein, im heiligen Strome
ライン川の畔のケルン大聖堂の中に古い絵がある。そこに描かれた聖母マリアが彼女とそっくりであることに息を飲む。
7. 僕は恨まない/Ich grolle nicht
僕を捨てて裕福な生活に目がくらんだ君を、哀れみさえすれ恨みはしない。
8. 小さな花たちが知っていたなら/Und wüßten's die Blumen,die kleinen
花や鳥や星たちは僕を慰めようとしてくれる。でも本当の僕の痛みを知っているのは自ら僕の心を引き裂いた彼女だけ。
9. それはフルートとバイオリン/Das ist ein Flöten und Geigen
煩い楽器の演奏の中、人々の取り巻きの中心で新郎新婦が舞い踊る。一人静かにその輪から後ずさり踵をかえす。
10. かつて彼女が口ずさんでいた歌が聴こえてくる/Hör' ich das Liedchen klingen
暗い思いに追い立てられるように森の高みへと登り、誰もいないそこで初めて声を上げて泣く。
11. ある若者がある娘を愛した/Ein Jüngling liebt ein Mädchen
男は娘を愛したが、娘は別の男との恋が成就しないことに腹を立ててたまたま道を歩いていた男を選んだ。
これは昔話だが、こんな悲劇は今でも起こりうる。
12. 陽の注ぐ夏の朝/Am leuchtenden Sommermorgen
朝の光の中、青白い頬のまま庭をさ迷い歩く。彼女のことを怒らないでね、と花たちは囁く。
13. 夢で僕は泣いた/Ich hab’ im Traum geweinet
夢で君に会い涙を流す。目が覚めても頬には川のように涙が流れている。
14. 毎晩のように夢で君を見る/Allnächtlich im Traume seh’ ich dich
夢で君に会うごとに僕は涙を流し、君がかけてくれた言葉は目が覚めればもう思い出せない。
15. 古いおとぎ話から/Aus alten Marchen winkt es
平和に満ちたそのパラダイスには、悲しみも苦しみも存在しない。でも朝が来れば夢は泡のように消えてしまう。
16. 昔の邪悪な歌/Die alten, bösen Lieder
邪悪な古い歌も夢も巨大な棺に納めて海に沈める。そこには僕の愛と痛みも共に。
J.ブラームス/Johannes.Brahms
17. 夏の宵/Sommerabend Op.85-1 ハイネ/Heinrich.Heine
山や森の上に月が出て、川では美しい妖精 ( 乙女 ) が密かに水浴びをする。
ハイネならではの美しい夏の夜の描写が一幅の絵画のようである。
18. 真如の月/Mondenschein Op.85-2 ハイネ/Heinrich.Heine
心身共に追い詰められた者であるからこそ、見上げた月が注ぐその神秘的な光に慰謝を見出す。
神の抱擁のようなその月の光に、凍結した心は少しずつ溶け流れる。
19. 春からの鼓舞/Frühlingslied Op.85-5 ガイベル/Franz.E.A.Geibel
長い冬が終わり、丘の森から吹き降りる風、空に舞い飛ぶ雲雀の声、畑の芽吹き、木や花が熱烈な春の扉を開こうとする。
もう若くはない我が心も、彼らと共に今再び花開こうとするのだ!
20. 夕映え/Abenddämmerung Op.49-5 シャック/Adolf.Friedrich.von.Schack
子供のころ、何が起こっても、どこから帰り着こうとも、お父さん、お母さんのその腕は広げられ、私たちをその胸に抱きよせてくれた。
彼らとの別離から長く時間が経とうとも、日没の光の中で今も彼らの腕は私たちに向かって無条件に広げられている。
21. 今は触れられぬ愛/AlteLiebe Op.72-1 カンディドゥス/Karl.August.Candidus
永遠に失ってしまった恋人。
どれだけ時が過ぎようとも、その傷は癒えることなく自らの心を蝕み続ける。
夢や幻覚に恋人の陰影を見続け、精神の破綻は治癒することを知らない。
22. 湖上/Auf dem See Op.106-2 ラインホルト/Christian.Reinhold.Köstlin
湖に浮かぶ小舟の上の二人だけの世界。
抱き合い愛を確かめ合う二人は、誰にも見られてはならない。
誰にも邪魔されず、誰にも惑わされず、小舟は舵を取る者のないままエデンに向かって波間に漂う。
23. 君は僕を帰してしまいたいの?/Willst du,das ich geh'? Op.71-4 レムケ/Karl.von.Lemcke
窓の外は酷い吹雪。
夜まで彼女の部屋で過ごして、行儀良く帰ろうとする彼を彼女は引き止めない。
ああだこうだ言って吹雪の夜に出て行かねばならない自分に哀れを誘って、何とか彼女と夢の一晩を過ごそうとする。
さて、その結果は…。
24. 二人だけのないしょ/Geheimnis Op.71-3 カンディドゥス/Karl.August.Candidus
牧歌的な野原に二人は身を寄せ合う。
少し離れたところにも花をほころばせた木々が何本か身を寄せ合って、それは二人の仲を噂話しているよう。
暖かい春の風が優しく吹き過ぎる。
R.シューマン/Robert.Schumann
25. 旅立ちのうた/Wanderlied Op.35-3 ケルナー/Justinus.Kerner
生まれ育った家を出て、自分自身の人生を求めて旅立つ若者。
血気盛んな心と、愛する人たち、故郷との別れに揺れ動く若い思い。
26. 天がこぼした一粒の涙/Der Himmel hat eine Tränen geweint Op.37-1
リュッケルト/Friedrich.Ruckert
天がこぼした涙は、海の中で貝に育まれ真珠となる。
貝と涙の、胸に沁みる愛のうた。
27. 披瀝/Geständnis Op.74-7 ガイベル/Franz.E.A.Geibel
そなたの存在が我の死への希望を断ち切ってしまった。
今や死を望むのとは別の望みを抱きつつ、かくの如くそなたを愛する!
28. 我が美しき星よ!/Mein schöner Stern! Op.101-4
リュッケルト/Friedrich.Rückert
我が美しき星よ、どうかその高みから惑い続けるこの心を照らし続けていて欲しい!
道を見失わぬよう、誇りを見失わぬよう。
29. 愛らしく優しいミルテと薔薇の花/Mit Myrten und Rosen,lieblich und hold Op.24-9
ハイネ/Heinrich.Heine
詩を通して描き続けた我がすべて。
棺(ひつぎ)としての一冊の詩集は、年月を超えて遠くの国の君の手に辿り着く。
どれだけの時が経とうとも文字は再び息を吹き返し、君に愛を囁き始める。